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皆さん「16:9」のスライド、使ってますか? これまで「A4」や「4:3」を使い込んできた人にとっては紙面の横幅が広く、少しとっつきにくさを感じるかもしれません。そこで今回は、パワーポイント従来のスライドサイズに慣れた人がつまずきやすいポイントと、16:9のスライドをレイアウトする上でぜひ押さえておきたいコツを紹介します!

A4や4:3のスライドを使い慣れた人が16:9のスライドで戸惑いがちな問題

 これまで「A4」や「4:3」で資料を作り続けてきた人が「16:9」のスライドに手をつけたとき、きっとこんな戸惑いを感じるのではないでしょうか?

16:9のスライドは横長過ぎる

 それは、今まで(A4や4:3)の感覚でテキストや画像などの要素をスライドに配置するとなんだかうまくいかない。もとい、「いくらなんでも横長過ぎるのでは!?」というものです。

見慣れてないだけ? 気にし過ぎ!?

 「16:9をまだあまり見慣れてないだけ?」「気にし過ぎ!?」ひょっとしたら、そう思うかもしれません。何しろスライドの内容そのものは読み取れますし、また多少見た目は微妙でも実用上は問題なさそうだからです。ですがその感覚は間違っていないと思います。

16:9のスライドで横幅一杯に文字を書き込むと、行長が長くなり過ぎる

 というのも、プレゼン資料ではしばしばスライドの横幅一杯に文字を書き込むことがあります。そしてここで1行の文字数に注目してみると、左の例では18ptのフォントサイズで45文字、右のように少し込み入ったスライドでは14ptで58文字です。しかし、私たちの身近な出版物の本文組みで、これらの文字数を目にすることはないでしょう。

出版物では、文書の用途・目的に応じて行長が調節されている

 なぜなら1行に収める文字数(これを「行長」といいます)は文書の目的・用途によって、ほどよく調節されているからです。身の回りの文書を思い浮かべてみてください。新聞や雑誌のようにテンポよく読み進めることが重視される文書では短く、一方新書や小説のようにじっくり読み込むタイプのものは長くなっているはずです。

行長が40文字を超えると、だんだんと読みにくくなる

 また、極端に短過ぎる・長過ぎる行長は文を読みにくくしてしまうという側面があります。たとえば極端に長い ―― 具体的には40文字を超えたあたりから、だんだんと1行を目で追いにくくなり、行の折り返しの際、視線の移動にわずらわしさを感じるようになってきます。

 そして何より、そもそもプレゼン資料は実用文書です。理想的には十数文字から三十数文字ぐらいで調節したいところ。長くとも四十文字は超えない程度に収めるのが自然といえます。

すぐに思いつく対処法として文字を大きくする手がある

 それでは、この横長の紙面と私たちはどう付き合っていけばよいのでしょうか? すぐに思いつく対処法としては、文字サイズを大きくする手があると思います。

この方法は情報量の少ないスライドなら問題ない

 ただしこの方法、情報量の少ないスライドであればうまく対応できるものの ――

しかし、ある程度ボリュームのあるスライドでは、情報が収まりきらなくなる

 ある程度ボリュームのあるスライドでは、情報が収まりきらないという問題が発生します。大きな文字サイズは横方向だけではなく、縦方向にもスペースを必要とするからです。

ならばスライドの横幅を活かして左右分割レイアウト!

 それならばスライドの横幅を活かして「左右分割レイアウト」というアプローチもできます。

左右分割レイアウトなら行も適度に折り返せるようになり、紙面の横幅を有効利用できる!

 この方法はまさに正攻法といえます。スライドを左右分割して要素を配置することで、1行を適度な文字数で折り返ししやすくなり、横長の紙面を有効活用できます。

ただし時にはレイアウトの難易度が上がるケースも!

 とはいえ決して万能ではありません。ときには掲載要素の形状や左右の情報量のバランスといった事情から、レイアウトが複雑化してしまうケースがあります。上記の例では、2つのトピックをスライドを左右分割して配置しようとしたところ、画像にとって具合のよい掲載場所がなくなってしまっています。

16:9のスライドをレイアウトするコツ

 ということで、一筋縄ではいかない16:9ですが、ここでいろいろな場面で使いやすいレイアウトのコツをひとつ紹介します!

スライド左右の余白を許容する

 それは特別難しいものではありません。「左右の余白を許容する」という、とてもシンプルな方法です。

スライド左右の余白を許容すれば、A4・4:3のコンテンツをそのまま掲載できる!

 スライド左右のスペース(余白)を許容すれば、A4ないし4:3のスライドをそのままのバランスで掲載できます。

パワーポイントデフォルトのA4と16:9のスライドサイズ

 というのもパワーポイントに標準で用意されている「A4」と「16:9(ワイド画面)」は、スライドの縦幅は同じ、横幅は16:9の方が広いです。そのためA4のスライドは16:9の左右中央のエリアにスポっとはめ込むことができます。

左右のスペースは無理に埋めようとせず、必要なとき・使いやすいときに利用すればよい。

 そして余った左右のエリアは無理に埋めようとはせず、必要なとき・使いやすいときに利用すればよいのです。

16:9のスライドのレイアウトサンプル

 それでは最後に、左右のスペースをどんなときに利用すればよいのか、いくつか例を紹介します。

横長のスケジュールを余裕をもって掲載

 まずはビジネスシーンによくよく登場する「スケジュール(線表)」です。スケジュールは横軸に時間をとることが多いですから、横長のスペースと相性がよいです。上記の例ではA4でも収まっているものの、16:9ならばもっと余裕をもってイベントをプロットできることがわかります。

2スライドぶんのフローを集約

 そして続いては、一連の手続きの流れを表すフロー。スライドの左右中央部に仕切り線を引き、フローを2列にすることで、2スライドぶんの情報を1枚に集約しています。

横幅の広い16:9において、スライドを左右いくつかのエリアに分割することが有効なシーンは多いです。うまくハマりそうな時は積極的に利用するようにしましょう。

スライドの横幅に合わせて要素を再配置

 そしてこちらは資料の「表紙」です。目立った違いはありませんが、16:9の方では紙面の横幅に合わせて、タイトルを左に、日付と作者名を右にわずかにずらしてバランスを整えています。

見出しの文言・画像サイズを紙面に合わせて調整

 こちらはとあるプロダクトの特徴を2点、画像と共に紹介しているスライドです。A4ではスライドの横幅が足りず、画像の右部分を一部切り落としていますが、16:9では紙面に余裕があるため、画像全体を掲載しています。なお後者はテキスト部分についてもわずかに横幅が長くなっており、見出しについてはスペースを適度に埋めるため、文言を調節しているのもポイントです。

スライドのスペースを活かして補足説明欄を設置

 最後はアイコンサイトの使い方を解説している手順書です。16:9ではスライドの右側に補足説明を記載するための専用のエリアを設けて細かな内容をフォロー、併せて横長過ぎる紙面を埋めています。A4ではなかなかすることのない、16:9ならではのレイアウトといえるでしょう。

関連記事

 そのほか16:9のスライドをうまくデザインする方法としては、パワーポイントの「ガイド」を活用する方法があります。以下の記事で詳しく解説していますので、併せてぜひチェックしてみてください。

パワポで16:9のスライドのデザインが整う、たったひとつのコツ|A4・4:3のスライドを使い慣れた人向け
画像やテキストなど、プレゼン資料の要素の配置にお悩みなら、ぜひパワーポイントの「ガイド」機能を試してみてください。ガイドをうまく活用すれば、伝わりやすく・説得力のあるプレゼン資料を効率よく作成できますよ。
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パワポ用デザイン・テンプレートの2024年版を公開しました。今回はワイド画面(16:9)のスライドがより使いやすくなるようルールを拡張し、そのほか細かな設定の調整を行っています。まずはダウンロードしてお試しください!
裏表紙

 文書作りに適しているかといえば少し毛色の異なる16:9ですが、ペーパーレス化の流れやオンライン会議の浸透により、その登場機会は確実に増えていると思います。当記事が16:9のスライドを使い始める人にとって、ニガテを克服するきっかけになれればうれしいです!

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