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多機能が魅力のパワーポイント。しかし、その多機能さゆえ意外なところにプライベートな情報が紛れ込み、時には深刻な問題を引き起こしてしまうことも。そこで今回はパワポ資料を顧客(社外向け)に提出する前に、必ずチェックしておきたいポイントを6つ紹介します。

パワポの仕上げで必ず確認したいポイント

今回紹介する「パワポの仕上げで必ず確認したいポイント」はこちらの6点です。それでは順番に解説していきます。

01|ノート

まずは1点目は「ノート」です。ノートといえば、ちょっとしたメモ書き、プレゼン本番のカンペなどで重宝する機能ですが、スライドの中身に集中していると、いつしかメモを書いたことそのものを忘れてしまい、古い情報を放置してしまいがちです。とくにスライドのコピー&ペーストを繰り返したときには、まったく無関係の情報が入り込んでいることも。そのため資料の最終提出前には必ずノートの中身をチェックし、不要な情報があれば削除するようにしましょう。

02|プロパティ

続いては「プロパティ」です。パワーポイントは資料の作成者および最終更新者をプロパティ情報としてファイルに保存しています。これらの情報は顧客(社外)向けには不要な情報になるため、資料の提出前には原則削除した方がよいでしょう。

 そしてプロパティにはもうひとつ注意すべき項目として「タイトル」があります。これは少しややこしいのですが、プレゼン資料のタイトル(1枚目のスライド・表紙)とは異なるパラメーターです。プレゼン資料の再利用(コピー&ペースト)を繰り返していると、この「プロパティのタイトル」と「表紙のタイトル」が食い違ってしまうことがあります。とくに、ある顧客向けの資料を基に、別の顧客向けの資料を作成した場合、古い顧客名がそのまま残ってしまうケースがあるため、必ず確認するようにしてください。資料の仕上げの際には「プロパティのタイトルの削除」をルール化してしまうのもひとつの手です。

参考|PDF化したときの見え方

ちなみに、先ほど触れた「プロパティのタイトル」ですが、パワーポイントをPDF形式で保存すると目立つ位置に現れるため要注意です。上記のサンプルは、PDFアプリのタイトルバーとタブに、プロパティのタイトルである「六菱商事」が現れ、資料の表紙には「日本ライラック」という別の顧客名が表示されています。

「プロパティのタイトル」はいつ入力されるのか

ときにトラブルの元にもなりかねないプロパティのタイトルですが、「それならいっそ入力せず、空のままにしておけばよいのでは」と考える方もいるかもしれません。しかし無視するだけでは、この問題は解決できません。おそらく知らず知らずのうちに入力されてしまいます。以下にプロパティのタイトルの挙動を示します。

  • パワーポイントファイル(.pptx)の新規作成時、プロパティのタイトルは「空」の状態。
  • ファイルを新規作成し、スライドの1ページ目の「タイトルを入力」エリアに文字列を入力してファイルを保存した際、ここに入力した文字列がプロパティのタイトルに複製される。
  • 一度プロパティのタイトルが設定されると、その後スライド1ページ目のタイトルを変更しても、プロパティのタイトルはそのまま。
03|コメント

そして次に紹介するのは「コメント」です。パワーポイントには、資料のレビュー/修正をやりとりするための機能として、スライドにコメントをつけることができます。これらも作業完了後には必ず削除するようにしましょう。なお、コメントの含まれるスライドには、スライドのサムネイルに吹き出しのマークがつくため、これを目印にするとよいでしょう。

04|スライドマスター

スライド背景を一括管理できる「スライドマスター」機能ですが、普段作業するスライドとは異なる領域で管理されていることもあり、資料作りの途中経過がそのまま残ってしまいがちです。資料の最終提出前には、念のためスライドマスターに不要な情報が含まれていないか、一通りチェックするようにしてください。

05|埋め込みエクセル

パワーポイントでグラフを扱うとき、エクセルで作ったグラフをスライドに張り付けるのはごく普通の操作と思います。ですがこのときコピー&ペーストの操作によっては、パワーポイントに「エクセルのブック全体」が埋め込まれていることをご存知でしょうか。この際、資料の閲覧者はグラフそのもの以外に、セルに入力されている個々の値、さらには別シートに含まれている情報も、その気になればアクセスできてしまいます。エクセルのグラフを利用するときは、ブックの埋め込みを避ける(データリンクとする)か、もし埋め込む場合には必要な情報だけをエクセルファイルに含めるようにしてください。

グラフをコピペする際の「貼り付けのオプション」について

エクセルのグラフをパワーポイントにコピーした際、ブックが埋め込まれるか否かはコピー&ペースト時に選択したオプションによります。「貼り付け先のテーマを使用しブックを埋め込む」「元の書式を保持しブックを埋め込む」を選択した場合、ブックが埋め込まれます。

グラフをコピー&ペーストする際のオプション
06|埋め込み画像

プレゼン資料に掲載する画像ですが、トリミング部に不要な情報が残っていないか、そもそも資料内に誤った画像が紛れ込んでいないか、最終提出前には一通りチェックしましょう。効率よくチェックするなら、下記「02|埋め込まれたエクセル / 画像の一覧確認方法」を参考にしてください。

対策 1|ノート/プロパティ/コメントの一括削除方法

さて、ここまでパワーポイントの仕上げでチェックしておきたいポイントを紹介しましたが、ひとつひとつの要素を手作業で確認していくのは、率直に言って骨が折れると思います。そこでここからは、各要素を一括削除する方法・効率的にチェックする方法を紹介します(ただし「スライドマスター」については、手作業で確認するしかありません。あしからず)。

 まずは「ノート/プロパティ/コメントの一括削除方法」です。

手順1|ノート/プロパティ/コメントの一括削除方法

ノート/プロパティ/コメントについては、パワーポイントの機能を使って一括削除できます。削除するには「ファイル」→「情報」→「問題のチェック」→「ドキュメント検査(①)」の順で選択します。

手順2|ノート/プロパティ/コメントの一括削除方法

続いて「ドキュメントの検査」ダイアログボックスで「コメント」「ドキュメントのプロパティと個人情報」「プレゼンテーションノート」にチェックを入れ(②)、「検査」ボタン(③)を押下します。そして情報が検知されたものに対し「すべて削除」を実行します(④)。これでノート/プロパティ/コメント情報の一括削除は完了です。

対策 02|埋め込まれたエクセル/画像の一覧確認方法

続いては「埋め込まれたエクセル/画像の一覧確認方法」です。

手順 1|埋め込まれたエクセル/画像の一覧確認方法

エクセルと画像について、これらをパワーポイントのスライドからひとつひとつ探し出すのは、あまり効率的とはいえません。そこで、ファイルベースで確認したいと思います。まずはパワーポイントファイル(.pptx)の拡張子を圧縮ファイル(.zip)に変更してください。次いでこれを解凍します。

手順 2|埋め込まれたエクセル/画像の一覧確認方法

すると上記のようなフォルダが展開されます。エクセルファイルは「embeddings」の中に、画像ファイルは「media」の中に格納されているので、それぞれ不要なものが混ざっていないかチェックしてください。

裏表紙

以上、パワポ資料の仕上げで必ず確認したいポイントの紹介でした。情報を手軽にまとめるのに便利なパワーポイントですが、安全なデータを作るにはやはり相応のチェックが必要です。上記のポイントを押さえつつ、安易には社外にパワーポイントデータを出さない・PDFを活用するなど、無理のない運用を検討しましょう。

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