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パワーポイントに慣れた人なら、その感覚を活かして利用できるGoogleスライド。とはいえスムーズに使いこなせるようになるまでは、細かな操作方法の違いに戸惑うこともあると思います。そこで今回はGoogleスライドで資料作り/デザインを効率よく進める上で押さえておきたい、パワーポイントとの主な違いをピックアップして解説します。

01
デフォルトのスライドサイズ(16:9)

Googleスライドで資料作りを進めていると、なぜかスライドがすぐに文字で一杯になってしまう、言い換えればパワーポイントの感覚でフォントサイズを選ぶと「なんだか文字が大きく見える」と感じたことはありませんか?

 これは決して錯覚などではありません。設定を一切変えずにスライドを編集すれば、同じフォントサイズでも、Googleスライドの方が文字は大きく表示されます。なぜならGoogleスライドの方が、紙面としてのスライドサイズがパワーポイントよりも狭いからです。パワーポイントデフォルトのスライドサイズは「ワイド画面(16:9):33.867 x 19.05cm」であるのに対し、Googleスライドは「ワイドスクリーン(16:9):25.4 x 14.29cm」に設定されています。スライドが狭い→文字が紙面の多くの面積を占める→文字が大きい!となる形です。

スライドサイズの違い

言葉(数字)だけでは分かりにくいため、それぞれのスライドの大きさのバランスを反映したサンプルを用意してみました。上記はパワーポイント/Googleスライドそれぞれのスライドの中央に100ptの文字を配置したイメージです。同じフォントサイズなら、Googleスライドの方が紙面に対して文字が占める面積が広くなる――ひいては文字が大きく見えることが分かります。コンピューターはスライドの拡大/縮小を柔軟に行えるため、スライドの広さ/狭さを感じにくく、文字のサイズ感の違いが目立ちやすくなります。

 このことはどちらか一方のツールを使い続けるだけなら、あまり問題にはならないものの、Googleスライド/パワーポイントを相互利用するようなケースではフォントのサイズ感が狂い、地味にわずらわしさを感じることになるでしょう(パワーポイントの見え方に合わせるなら、Googleスライドでは75%のサイズを指定する必要がある)。解決策としては「Googleスライドのスライドサイズをパワーポイントに合わせる」方法があります。

Googleスライドで「ページ設定(スライドサイズ)」を変更する方法

Googleスライドのスライドサイズは「ページ設定」で変更することが可能です。「ファイル」メニューから「ページ設定」を選ぶと、「ページ設定」ダイアログが表示されます。プルダウンメニューから「カスタム」を選択し、横幅「33.87cm」、縦幅「19.05cm」を入力後、「適用」ボタンを押下してください。フォントのサイズ感がパワーポイントと揃い、資料作りをスムーズに進めやすくなります。もしパワーポイントの文書も並行して管理する必要があるなら、ぜひ試してみてください。

なお、上記は「パワーポイントのワイド画面(16:9)」に合わせる場合の設定例です。「パワーポイント標準のA4 210 x 297 mm」に合わせる場合は、ページ設定ダイアログのプルダウンメニューから同じく「カスタム」を選択し、横幅「27.52cm」、縦幅「19.05cm」を設定します。

02
ガイドの始点

要素の配置を決めるのに便利な「ガイド」。スライドのレイアウトを進める上で必須ともいえるこの機能は、パワーポイント/Googleスライドでほぼ同じものを利用できます。しかしひとつ注意点があり、それぞれ始点が異なります。パワーポイントではスライドの中心部がゼロになりますが、Googleスライドはスライドの左上隅です。

 以下はパワーポイントとGoogleスライドで、それぞれ同じ位置にガイドを引いた場合の例です。サイズは「(パワーポイントの)ワイド画面(16:9)」と「(パワーポイント標準の)A4」の2種類で作成しています。よかったら参考にしてみてください。

ワイド画面の場合|ガイド位置の違い
パワポ標準のA4サイズの場合|ガイド位置の違い
Googleスライドでガイドを操作する方法

最後にGoogleスライドでガイド機能を利用する際の手順を解説します。「表示」メニューから「ガイド」を選択してください。ガイドの表示/非表示の切り替えや、ガイドの追加/削除(クリア)といった操作を行えます。

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パワーポイントでのガイドの使い方を詳しく解説した記事があります。おすすめのガイド位置にも触れていますので、併せてぜひご覧ください。

パワポ慣れしている人ほど知ってほしい!Googleスライドとパワーポイントの違い
画像やテキストなど、プレゼン資料の要素の配置にお悩みなら、ぜひパワーポイントの「ガイド」機能を試してみてください。ガイドをうまく活用すれば、伝わりやすく・説得力のあるプレゼン資料を効率よく作成できますよ。
03
おすすめの日本語フォント

プレゼンの印象はもちろん、情報の伝わりやすさやチームによるスムーズな共同作業の進めやすさを左右するフォント。そんなフォントですが、パワーポイントとGoogleスライドでは利用できるフォントの種類に明らかな違いがあり、また使い慣れたフォントでも状況によって予想外の動作をすることがあるため注意が必要です。まずはカチッとしたビジネス文書で使いやすい、おすすめのフォントを紹介しますので(上記)参考にしてみてください。

Googleスライドがサポートするフォント/メイリオはPDF/印刷に出力できない

さてそれでは具体的にどんな違いがあるのかというと、Windowsでお馴染みの「游ゴシック」や「Meiryo UI」はGoogleスライドでは利用できません。また「メイリオ」はブラウザの画面上では表示できるものの、PDF変換や印刷した場合には「MS Pゴシック」に置き換わってしまいます。理由はアプリケーションの特性や(パワーポイントは原則PCにローカルインストールして使うアプリですが、Googleスライドはブラウザアプリです)、フォントのライセンス形式によるものですが、詳しくは以下の記事で解説していますので、気になる人は併せてチェックしてみてください。

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Googleスライドでフォントを使いこなすコツは以下の記事で詳しく解説しています。

パワポ慣れしている人ほど知ってほしい!Googleスライドとパワーポイントの違い
パワーポイントに代わるプレゼンツールとして利用が進むGoogle Slides。この記事では、パワーポイントを既に使い慣れている人向けに、Google Slidesでのフォント選びのポイントを解説します。
04
文字揃え「両端揃え」の動作

お馴染みの左揃えやセンター揃えなどテキストにはいくつかの揃え方がありますが、Googleスライドでは「両端揃え」を利用することができません。両端揃えとは日本語の本文組みで頻繁に利用されるもので、文章の各行の長さを同じにする揃え方を指します。ある程度ボリュームのあるテキストをキレイに箱形に揃えて見せることができるのですが、Googleスライドではうまく動作しません(これはシンプルにGoogleスライドの日本語処理のバグと思います)。

 そのためGoogleスライドでは両端揃えの利用は避け(両端揃えを表すボタンそのものは存在するのがやっかいなところです)、代わりに「左揃え」を利用しましょう。

05
線の太さの指定方法

図解やグルーピングの表現などプレゼン資料に欠かせない「線」要素ですが、太さの指定方法がそれぞれのツールで異なります。パワーポイントでは「pt(ポイント)単位」、一方Googleスライドは「px(ピクセル)単位」です。

 いろいろ試してみたところ、Googleスライドでは1ピクセル=1/96インチ=0.75ポイントと扱うようです(1ポイントは1/72インチ)。またGoogleスライドでは太さも決まったサイズ(1,2,3,4,8,12,16,24ピクセル)からの選択形式です(パワーポイントは0.1ポイント単位で手動調節可能)。Googleスライドでは線の太さについて、ある程度割り切る必要があることを覚えておきましょう(とはいえそれほど困ることはないと思います……)。

06
グリッドの間隔

これはかなり気づきにくいポイントですが、パワーポイントとGoogleスライドでは「グリッドの間隔」が異なります。

 グリッドとは「方眼紙のマス目」のようなもので、両ツール共にスライド上に仮想のマス目を作成し、要素をマス目に吸着させて配置できるのですが(要素同士の微妙なズレがなくなり、キレイに整列しやすくなります)、Googleスライドではざっくりとした制御しか行えません。具体的には、パワーポイントではグリッドの間隔を任意に変更可能(最小値は0.1cm)、Googleスライドでは0.21cm固定です。

 残念ながらGoogleスライドのグリッド機能は、あまり使いやすくないと思います。Googleスライドではグリッド機能は使用せず、要素の整列はガイドおよびスマートガイド(要素同士の端や中心を自動検出し、補助線を表示・吸着してくれる機能)を目安にすることをおすすめします。

Googleスライドでグリッドを使用する方法

なおGoogleスライドで、グリッド機能を有効化/無効化する方法ですが、「表示」メニューの「配置先」から変更できます。有効化するときは「グリッド」にチェックをつけ、無効化するときはチェックを外してください。

07
その他

最後にパワーポイント/Googleスライドで、同じ機能で名前が異なるものや、Googleスライドでは利用できない機能をまとめて紹介します。

…の書式設定/ファイル形式オプション

まずは「図形の書式設定」です。これはパワーポイントでは要素の細かな設定を調整するときに使うお決まりのメニューですが、Googleスライドでは「ファイル形式オプション」が該当します。率直に言ってメニューの名前と利用できる機能が噛み合っていませんが、これはもう受け入れるしかないでしょう。

なおパワーポイントの「図形の書式設定」は選択する要素によって「図の書式設定」や「書式設定グラフィック」などメニュー名が変わります。

余白/パディング

続いて図形の中にテキストを入力するとき、図形とテキスト間の余白は、パワーポイントの場合「左・右・下・上余白」で設定しますが、Googleスライドでは「パディング」です。これは日本語/英語の違いなので、一度覚えてしまえば迷うことはないと思います。

段落前・段落後/変更前・変更後

パワーポイントで段落の前方や後方に余白をとりたいとき、「段落前」「段落後」機能を使いますが、Googleスライドでは「変更前」「変更後」です。入力値の単位がどちらも「pt(ポイント)」で揃っているのはありがたいところ。

縦書きと字間の調節はGoogleスライドで利用できない

縦でも横でも組めるのは日本語のアドバンテージのひとつですが、Googleスライドで縦書きはサポートされていません。また「字間(文字と文字の間隔)」も調節することは不可能です。日頃のプレゼン資料作りにおいて、なくてもそれほど困る機能ではありませんが、好んで利用する人はあらかじめ知っておいた方がよいでしょう。

自動調整

最後はテキストボックスの自動調整機能について。テキストを枠線で囲ってみせるときなどに、パワーポイントでは「テキストに合わせて図形のサイズを調整する」を有効化することで、枠線の大きさをテキストのボリュームに自動で合わせることができます。かつこの機能は「テキストボックス」はもちろん、「図形(四角形・円形など)」でも同じように利用できますが、Googleスライドではあくまで「テキストボックスのみ」です。この機能をテキストボックスだけに限定してしまうのはあまりユーザーフレンドリーとはいえませんが、Googleスライドの仕様のため受け入れるほかありません。

Topics

以上、パワーポイントに慣れた人向けに、Googleスライドとパワーポイントの違いについて解説しました。Googleスライドはパワーポイントと非常に近い操作感をもつものの、細かな設定方法やサポートされている機能に違いがあることがわかります。曖昧なままにせず違いをしっかりと把握することで、より無駄なく・スムーズに資料作りを進められるようになるでしょう。最後までご覧いただきありがとうございました!

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