
― プレゼン資料作りで押さえておきたい ―
見やすい文字の揃え方

プレゼン資料に文字を書き込むとき、なんとなく「左揃え」や「センター揃え」を使っていませんか? 文の目的や用途、あるいは文字量によって正しい文字揃えを選ばないと、ときに文が読みにくくなったり、資料作りの負担が増えてしまうことがあります。プレゼン資料作りで押さえておきたい「基本の文字揃え」を解説します。
文字揃えとは
文字揃えとは、文の各行をどこで揃えるかを指します。日本語横書きの文書の場合、行頭を揃える「左揃え」や、行の中心を一致させる「センター揃え」など、いくつかの揃え方がありますが、プレゼン資料では以下の4つを押さえておくとよいでしょう。

なお、各文字揃えの選び方ですが、文の目的や用途、狙った視覚効果、文章の文字数などケースバイケースで使い分けをするかたちです。続いては、それぞれの文字揃えの利用シーンについて解説します。
文章は「両端揃え」を基本とする
複数行にわたるような一定のボリュームのあるテキストを記載する場合、文字揃えは「両端揃え」を使用します。両端揃えとすることで、各行の先頭および改行部がキレイに揃い、見た目が整然と整ったスライドを作成できます。以下は同じ文章を「左揃え」「センター揃え」「両端揃え」で記載したサンプルです。比べてみると両端揃えが一番整って見え、一方センター揃えではむしろ文が読みにくくなっていることを感じ取れると思います。



欧文の文字揃えの基本は「左揃え」
「両端揃え」は多くの文章を読みやすく整えられますが、これは日本語のように1文字の大きさがおおむね揃っている言語の場合です。欧文のような文字幅の異なる単語で構成される文章に両端揃えを使用すると、字間が間延びして見えてしまうことがあります。そのため欧文では無理に両端揃えを使用せず、左揃えを原則としてください。


タイトル・見出しは「左揃え」
タイトルや見出しのような短文には「左揃え」を使用します。文字数の限られている文を無理に両端揃えにすることはできませんし、またこれらの文はキャッチコピーのような性質が含まれる場合があり、意味のまとまりや読みやすい位置で改行したほうが本来の目的を達成しやすくなるからです。なお、タイトル・見出しについては、次で紹介する「センター揃え」を使用する見せ方もありますが、多用すると文が読みにくくなってしまう場合があるため、要所に絞って使うようにしてください。


印象づけたいメッセージは「センター揃え」
センター揃えとは、行の中心を一致させる揃え方です。一連のテキストが左右対称になり、印象的な見え方が強まります。そのため、顧客に特にアピールしたいメッセージなど、資料の要所に絞って利用するとよいでしょう。ただし、記載する文字数が多い場合、行の開始位置や改行位置が不揃いとなり、むしろ文が見にくくなってしまう場合があるため、多用は禁物です。センター揃えは、両端/左揃えと比べて少し変則的な揃え方であることを覚えておいてください。


上記左揃えのサンプルは決して間違いではありません。ただ、文のメッセージ性を強調する場合、センター揃えがよく利用されるほどのニュアンスで押さえておくとよいでしょう。
その他、センター揃えの使いどころ
儀式的・高級感の演出などにも使用されるセンター揃えですが、そのほかよく利用されるシーンとしては、「キャプション(図版に付記される短い説明文)」や「囲みの中のテキスト」があります。


センター揃えは改行位置に注意する
センター揃えは行の中心位置が揃う一方、開始位置/改行位置は不揃いになります。よって、意味のまとまりや読みやすい部分で改行しないと、両端揃え・左揃えと比べて見え方が不自然になりがちです。そのため改行が起こらない1行だけの短文に使用するか、もし2行以上にまたがる場合は改行位置をしっかりとケアするようにしましょう。


金額・数字は「右揃え」
右揃えとは、文の改行部を一致させる揃え方です。かなり変則的な揃え方になるため利用する機会は限られますが、主には「金額・数字」を記載するとき、または「スライドの左右を押さえてバランスをとる」ときに利用するとよいでしょう。
まずは以下のサンプルを見てください。金額・数値がセンターで揃えられているものと、右で揃えられているものでは、値の読み取りやすさ(桁の違いのわかりやすさ)にはっきりとした違いが現れています。


続いてのサンプルはプレゼン資料の表紙です。とくに注目してほしいのは、「タイトル」と「作成日・作成者」のテキストの配置。左揃えとセンター揃えが混在しているものよりも、左揃えと右揃えを組み合わせているものの方が、紙面としての安定感が増していることを感じ取れるのではないでしょうか。


上記左揃え/センター揃えが混在したサンプル(左)は、ビジネスシーンで十分利用できる品質です。ただ、バランス感という点で、左揃えと右揃えを組み合わせたものの方に分があるといえます。
最後に
プレゼン資料のようなビジネス文書は、テキストが情報の中心になりやすく、そのため文字のデザインも決しておろそかにできません。基本の文字揃えを押さえれば、プレゼン資料を伝わりやすく、かつ効率的に作成できるようになりますよ!