企画書・提案書を書くならおさえておきたい!
プレゼン資料お勧めの
「フォントサイズ」
プレゼン資料のデザインで、たびたびトピックにあがるものといえば「フォント」。当サイトでも過去に取り上げている内容ですが、今回は少し切り口を変え「フォントサイズ」についてご紹介します。というのも世間ではこの点、結構あいまいに扱われているような気がするんですよね。。
最適なフォントサイズは
「資料の利用シーン」によって変わる
ときどきネットで「プレゼン資料のフォントサイズは○○pt以上がお勧め」といった記事をみかけるのですが、もうちょっと補足しても良いんじゃないかな?というのが筆者の意見です。なぜならプレゼン資料に適したフォントサイズは「その資料が、どういう条件で利用されるか」によって変わるから。
恐らく多くの指南書・ノウハウ記事がイメージしているのは「講演資料」です。しかし、プレゼン資料の利用シーンは講演以外にもいろいろあるわけで。そこで当記事では、社会人ならきっと誰もが接する「企画書」や「提案書」をターゲットに、お勧めのフォントサイズを紹介してみようと思います。
ちなみによく考えてみると、PowerPoint Designのこれまでの記事はすべて、企画書・提案書の体裁を意識しているんですよね・・というのも、語ったのは今回が初めてなのですが。
前提条件|この記事では「企画書」「提案書」向けに、お勧めのフォントサイズを紹介します
ということで、まずは前提条件です。当記事は次の環境におけるフォントサイズをお勧めするものとします。
資料の用途 | 企画書・提案書など |
---|---|
ツール | パワーポイント ※OSはMS Windows。 |
フォント | メイリオ |
用紙サイズ | A4 210x297mm(幅:27.51cm,高さ:19.05cm) |
資料のトーン | わかりやすい、理知的 |
媒体 | 紙および小型のスクリーン(数人ほどの打ち合わせを想定) |
なお、用紙サイズが非常に重要で「パワーポイントにプリセットされているA4(実際のA4よりも少し小さなサイズ)」を前提としています。詳しくはこちらの記事にて紹介していますので、ぜひ併せてご覧いただければと思います(≫パワーポイントの「わかりやすさ」と「生産性」を向上させるデザイン・テンプレート)。
お勧めのフォントサイズ
16pt − 必ず読んで欲しいテキスト −
プレゼン資料にテキストを書く際、ぜひおさえて欲しいフォントサイズが「16pt」です。筆者の中では”プレゼン資料テキストの基本”といっても良いぐらい日常的に利用するサイズとなっています。
このサイズは、相手に必ず読んでもらいたい文章に使います。多少込み入った内容かもしれないけど、がんばってついてきて欲しい。だからきちんと目にとまるように大きな文字で、且つそこそこ細かくも語れるように小さく。つまりコンテンツを切々と伝えるのに絶妙なバランスを狙った文字サイズがこの「16pt」なのです。具体的な使いどころは「スライドの概要説明文」や「要点を列挙した箇条書き」など、プレゼン資料の要所で利用します。
またこのとき「A4」のスライドサイズと「16pt」の組み合わせがポイントで、スライド左右いっぱいを使って文字を記載しても行長(*)が大体40文字前後になり、ちょうど実用文書として読みやすさが保たれるギリギリの長さにおさまるのです。
「行長」とは1行の文字数のこと。日本語の実用文書は「長くて35〜40文字」。これ超えると行を目で追うのが厳しくなり、可読性に支障がでてきます。
ちなみに、スライドに配置する図版や文字が少なく、余白が目立ってしまうような場合にはもう少し大きめで「18pt」、このサイズもまた非常に使い勝手が良いです。
プレゼン資料のコンテンツをじっくり・しっかり伝えたいときには、「16pt(ないし18pt)」、このフォントサイズをぜひ試してみてください!
24pt − 見出し −
ひと味違うプレゼン資料を目指すなら「見出し」を意識してみてはいかがでしょうか?見出しとは「コンテンツの概要が一目でわかるようにつけた表題」のこと。その他にも特定のポイントに読み手の視線を誘導したり、話題の切り替わりを強調するなど、プレゼン資料において何かと便利な働きをしてくれます。
「見出し」の効果
- 記載内容の概要を伝える
- 読み手の視線を誘導する
- トピックを切り替える
例えばひとつのスライドにいくつかのトピックが共存しているような場合、この見出しが役に立ちます。以下のサンプルでは、見出しによって1枚のスライドが上下に論理的に分割されています。
なお、この見出しですが、記号でそれと表すよりも「文字の大小差」でメリハリをつけるのがお勧めです。コツとしては本文(16pt)に対してはっきりと差をつけ、目立たせること。目安はだいたい1.5倍、フォントサイズとしては「24pt(本文:16pt x 1.5 = 24pt)」ぐらいをお勧めします。
またサイズだけでなく、色やボールド(太字)も併用すると、よりいっそう見出しらしさがはっきりしますよ。
8pt − 補足説明・注意書き −
世の中、そこまで重要ではないけれど、念のため伝えておきたいことも多々あるでしょう。
こんなとき覚えておきたいのが「補足説明」です。情報の参照元や確認日、些細な注意書きなどは、スライドの端にそっと書き込んでおくのがセオリー。本筋と少し毛色の異なる情報を、本文と同じ文字サイズで書いてしまっては野暮というものです。
さてそんな補足説明ですが、お勧めしたいフォントサイズは「8pt」。
ちなみに「小さ過ぎて見えないよ!」と思われるかもしれませんが、これが意外にそうでもありません。何なら割り付け設定を使って「4UP(1枚の用紙に4スライドを集約)」で印刷してみてください。少なくともレーザープリンタなら、文字は潰れずにしっかりと残っているはずです。
確かにプロジェクター投影では厳しいかもしれませんが、そもそも当記事は小規模のミーティングを前提としており、講演資料のような遠目で見られる使い方は想定外です。それに往々にして混み入った情報をまとめなければならないプレゼン資料なら、8ptの文字サイズの使い方もおさえておいて損はないでしょう。
ちなみに、補足説明では「行頭記号」を使うと狭いスペースを効率良く利用することができます。細長いクセのあるスペースも、この手を使えばばっちりですよ。
22pt − スライドタイトル −
スライドの最上段に位置する見慣れた1行といえば「タイトル」です。閲覧者の視線に一番最初に飛び込み、スライドの内容をざくっと伝える重要な働きを担っています。
ただ、このタイトル、スライドの中で一番重要かというと、ちょっと違いますよね。あくまで主役はコンテンツの中身。タイトルは数ある見出しのひとつに過ぎません。しかもこのタイトル、「本当に必要かなあ」って思うことありませんか?
スライドの内容によってはタイトルが必要なときも、そうで無いときも当然あるわけで、なまじ定位置を確保してしまっただけに無理矢理記載しなければならないことがあるのも、このタイトルの特徴のひとつではないでしょうか。
とはいえもちろん利点もあります。特にアウトラインで資料の全体像を把握するのにはとても便利です。タイトルだけを抜き出して資料の構成を確認すると、思わぬ章立ての過不足に気がつくこともしばしば。
ということで、目立ちすぎず、目立たな過ぎずのタイトルフォントサイズのお勧めは「22pt」。見出しと、必ず読んで欲しいテキストの間をとったかたちです。
32pt − 印象づけたいメッセージ −
さて今回最後に紹介する要素は「印象づけたいメッセージ」です。具体的にはプロダクトのキャッチコピーやセールスポイント、顧客の課題とそれに対する解決策など、まさしくプレゼン資料の要点中の要点にあたるテキスト。ここにはどのぐらいのフォントサイズを設定するのが良いのでしょうか?
なかなか一概には言いにくいのですが、例えば「32pt」。”必ず読んでほしいテキスト:16pt”の2倍程度が扱いやすくて便利です。
なお、これらのテキストの大小差を『ジャンプ率』といいます。ジャンプ率が低ければ(大小差が小さければ)理知的な印象に、高ければ(大小差が大きければ)元気・活発な見え方が強まります。ちなみに、ジャンプ率が高い最たる例は”スーパーのチラシ”です。さすがにプレゼン資料はチラシではありませんから、落ち着きつつも程よくアピールするぐらいを狙って「2倍」としました。
ついてにもう一点。メッセージを強調する方法として、当サイトでは「塗り・白文字」をお勧めしていますが、この場合では塗った背景の面積が文字の存在感を強調してくれるため、32ptより小さな文字サイズでも大丈夫。以下のサンプルでは「28pt」を使用しています。
以上、印象づけたいメッセージのお勧めフォントサイズでした。プレゼン資料の論理/ストーリー展開と併せ、ここぞというところで使えば、いっそう効果を実感できると思いますよ!
最後に
今回はビジネスパーソンなら避けては通れない「企画書」「提案書」向けにお勧めのフォントサイズを紹介しました。そう簡単に基準を見極められるものではありませんが、当記事がひとつの目安としてお役に立てれば幸いです。なお、提案書・企画書以外にも様々な用途に流用できるフォーマットなので、ちょっとした資料づくりのときなど、ぜひ試してみてくださいね!