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プレゼン資料作りで「スライドの分割」を意識したことはありますか? 新聞・雑誌はもちろんポスターやチラシを含め、世の中の文書で紙面をまるまる1枚のキャンバスとして扱うことはまれです。そのほとんどが紙面を分割して使用しています。当記事では、スライドを適度に分割し、紙面を無駄なく・効果的に利用する方法を紹介します。

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紙面は分割すると、情報を整理しやすくなる

皆さんは旅行に出かけるとき、スーツケースにそのまま荷物を詰め込むのではなく、小分け用のポーチを使うことがあると思います。また、机の引き出しに文房具をしまいやすいよう、小さなトレーを利用している人もいるのではないでしょうか。収納は大きいにこしたことありませんが、あまりに大きすぎても持て余してしまうものです。適度な大きさに区切った方が、モノを効率よく収めやすくなります。そしてこれはデザインも同じです。

 以下のサンプルはハンバーガー店のオープンを知らせるチラシ。一見すればどこにでもありふれたチラシですが、よくよく見れば紙面の分割に気づけるはず。

ハンバーガー店のチラシ
ハンバーガー店のチラシ
紙面の分割の詳細|ハンバーガー店のチラシ

 ご覧の通り、このチラシは紙面の中央を界に左右2分割で構成されています。向かって左側はテキストでお店の開店日時や名前、場所などの情報を伝え、右側はチラシが人目にとまるようハンバーガーの画像で興味を引くかたち。つまり、紙面を区切ってそれぞれの領域に特定の役割を持たせ、性質の異なる情報をひとつの紙面に効率よく格納しています。

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私たちは知らず知らずのうちに、
スライドを分割している

さて、続いてもうひとつ例をみてみましょう。以下はとある企画のターゲット設定を解説しているスライドです。実はこの中にビジネスパーソンのほぼ100%が利用している分割があります。どこが分割されているかわかりますか?

とある企画のターゲット設定を解説しているスライド
とある企画のターゲット設定を解説しているスライド
紙面の分割の詳細|とある企画のターゲット設定を解説しているスライド

 答えは「ヘッダー」と「コンテンツ」「フッター」エリアの3つです。

 皆さんはスライドの情報をおおまかに把握したいとき、きっとスライドの最上部に視線を移すはずです。なぜならそこにはスライドの概要を表す「タイトル」があるはずだから。また、資料の出どころや現在位置を知りたいとき、スライドの最下部に目をやり、コピーライト表記やページ番号を探していると思います。これらの行動は、私たちが「スライドの中に特別な機能を持った領域がある=スライドを分割して認識している」ことの表れといえます。

 分割は、情報を効率よくスライドに収めていく上で、なくてはならない手法です。スライドの分割をしっかりと意識し、さらにこれを「コンテンツエリア」の中にも適用することで、プレゼン資料の伝わりやすさをさらに高めることができます。

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コンテンツエリアを分割し、
スライドを効果的に利用する

それではコンテンツエリアの分割方法について解説します。とはいえ、それほど難しく考える必要はありません。なにしろプレゼン資料のスライドの広さは、せいぜいA4×1枚程度。あまり複雑な分割はできないからです。原則は上下・左右方向に2〜3分割程度に収めておくのが現実的です(以下例)。

スライド分割のパターン
スライド分割のパターン

そして、この分割したエリアに対して、情報をまとまりごとに配置します。いくつかサンプルを紹介しますので、参考にしてみてください。

2分割(上下の分割)

こちらは先ほどヘッダー/コンテンツ/フッターエリアの例で紹介したスライドです。コンテンツエリアに着目すれば上下2分割、前述のパターンでいうところの「B」に該当します。企画のターゲットについて「職種・役職」と「課題に対する検討の進捗度」、これらふたつのトピックをひとつのスライドにまとめている形式です。

とある企画のターゲット設定
とある企画のターゲット設定
分割例|とある企画のターゲット設定
分割例|とある企画のターゲット設定

3分割(1+2分割)

続いては3分割のスライド。ひとつ目のエリアに「主張」を、その下には具体例を「ビフォー/アフター」形式で横並びに配置しています。ビフォー/アフターについては、あえて形を揃えて(対比させて)見せることで、前後の変化を強調している点も押さえておきたいところ。プレゼン資料の見せ方としては、定番ともいえるスタイルです。

ビフォー/アフター
ビフォー/アフター
分割例|ビフォー/アフター
分割例|ビフォー/アフター

4分割(2+2分割)

こちらはとあるWebツールの操作手順を解説しているマニュアルスライドです。スライドを左右に分割して図版と説明文を配置、さらにこのセットを上下にふたつ格納しています。図版とこれに対応する説明文を近くに寄せることで視線の移動量を減らし、スライドの情報を読み取りやすくしています。

マニュアル(操作手順書)
マニュアル(操作手順書)
分割例|マニュアル(操作手順書)
分割例|マニュアル(操作手順書)

4分割(1+3分割)

最後はWebサイトの構築スケジュールを表しているスライドです。スライド上部にメインの主張を記載し、その下に3フェーズのスケジュールを横並びで等間隔配置しています。

Webサイトの構築スケジュール
Webサイトの構築スケジュール
分割例|Webサイトの構築スケジュール
分割例|Webサイトの構築スケジュール
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分割のコツ・注意点

なお、スライドをやみくもに分割するだけでは、その効果を十分に得られない場合もあります。ここではスライドを分割する際のコツ・注意点を3つ紹介します。

シンプルに分割する

分割は、ぱっと見でそれとわかることが大切です。ポイントは直線的に、シンプルに分割すること。とくに斜めの分割はすぐに見分けることが難しいため、避けるようにしてください。こうしたスライドでは多くの場合、スライドの内容から逆算して分割を読み取らなければならない——つまり理解に手間のかかる面倒なスライドになってしまいます。

BEFORE|イベント運営体制を解説しているスライド
分割が斜めに行われており、スライドの構造をすぐに把握しにくい。
AFTER|イベント運営体制を解説しているスライド
主張/ビフォー/アフターのまとまりを一目で把握できる。

リズムを守る(反復)

人は予測をする生き物です。1,2とくれば、次には当然3がくるものと期待します。あるいはA,Bときたら、次にCがこなければ調子が狂ってしまうものです。そのためスライドの分割も一度流れを作ったら、それを最後まで続けるようにしてください。リズムをしっかりと守ることで、情報の受け取り手の理解を促進する効果が得られます。

BEFORE|秋田の食を紹介しているスライド
図版/見出し/説明文の配置が途中で変わっている。
AFTER|秋田の食を紹介しているスライド
一連の要素の配置が、同じリズムで繰り返されている。

過剰な分割を避ける

スライド1枚あたりの情報量が増え「スライドがごちゃごちゃしてきたな」と感じたら、ぜひページ(スライド)の分割を検討してください。多数の情報が掲載されたスライドの分割はどうしても難しくなりますし、たとえ苦労して正解を導き出したとしても、期待する効果を得にくいためです。スライドの掲載情報量を減らせば、スライドの分割はシンプルになります。

BEFORE|講習会実施レポート
いろいろな情報を詰め込んだ結果、分割が複雑化している。
AFTER|講習会実施レポート
ページを分けてコンテンツを掲載した結果、分割がシンプルになった。
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最後に

中身がすんなりと頭に入ってくるプレゼン資料は、スライドの分割もシンプルなケースが多いです。スライドがいったん出来上がったら、分割のラインをすぐにイメージできるか、ぜひチェックしてみてください。

スライド分割のコツまとめ
  • スライドはいくつかのエリアに分割すると、情報の整理のしやすさ・伝わりやすさが増す。
  • A4サイズなら、上下/左右方向に2〜3分割ほどが現実的。ぱっと見ですぐにスライドの分割がわかるようにする。
  • トピックの多いスライドの分割は難しい。そんなときはページを分割し、スライドあたりの掲載情報量を減らすことで、分割をシンプルに保つ。

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