パワポ慣れしている人ほど知ってほしい!Google Slidesで失敗しないフォントの選び方

パワーポイントに代わるプレゼンツールとして利用が進むGoogle Slides。パワーポイントとほとんど同じ感覚で扱うことができるものの、やはり勘所が異なる部分もあります。中でも特に注意したいのが「フォント」。当記事ではパワーポイントを使い慣れた人向けに、Google Slidesでフォントを選択するポイントを解説します。
目次
この記事は、2020年11月16日時点の情報に基づいて作成されています。
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この記事は以下のツイートを加筆・修正し、詳しく解説しています。
【 新着記事のお知らせ 】以前TweetしたGoogle Slidesでのフォント選びのポイントを記事にまとめました。下書き用に作ったパワポのスライドも貼っておきます。
パワポ慣れしている人ほど知ってほしい!Google Slidesで失敗しないフォントの選び方
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ちょっと、どれだけ需要があるか分かりませんが、PowerPointを知っている人向けのGoogle Slidesを使いこなすコツ|フォント編です。PowerPointではおなじみの「メイリオ」が、Google Slidesではやや扱いにくくなっている点に注意ですね。 pic.twitter.com/MPMob1x3XR
— デザイン・レイアウトで伝わる!プレゼン資料/書籍『プレゼン資料作成「超」授業』発売中! (@presen_design) September 7, 2020
パワーポイントに慣れた人が考えがちなこと
プレゼンツールの定番であるパワーポイント。「仕事で普通に使っている」という方、たくさんいますよね。そして、そんな人が何かの理由でGoogle Slidesを使うことになったとき、次のように考えるのはとても自然だと思います。
パワーポイントではいつも游ゴシックを使っているから、Google Slidesでも同じものを使おう。
メイリオで資料を作成した。印刷したときにも同じ見た目を再現できるはず。
「游ゴシック」といえば、Windows 10のシステムフォントに採用されているフォントです。そんなフォントであれば当然Google Slidesでも利用できると思いますよね。また、パワーポイントで資料を印刷したことのある人ならば、ディスプレイで見たままのビジュアルを紙の上でも再現できると当然期待するでしょう。
しかし、これらはどちらもGoogle Slidesで実現できません。
理由はいたってシンプルで、それがGoogle Slidesの仕様だからです(一部Bugのような動きもありますが…)。Google Slidesはフォントに関して次の動作をすることを、まずは覚えておいてください。
- Google Slidesで使用できるフォントは「Google Slidesがサポートするフォント」。
- フォントの中には、PDF化/印刷出力するときに、別のフォントに置き換わってしまうものがある。
Google Slidesで使える日本語フォント
さて、それではGoogle Slidesでは、どんなフォントを利用できるのでしょうか。実はGoogle Slidesで利用できる日本語フォントは、そう多くありません。フォントリストに出てくるものを一覧化したものが次の表です。
カテゴリ | フォント名 |
---|---|
Windows系 |
|
Mac系 |
|
Google Fonts系* |
|
パワーポイントのような(PCのOS上で直接動作する)アプリケーションであれば、「PCにインストールされているフォント=利用できるフォント」となりますが、ブラウザアプリであるGoogle Slidesに、それは当てはまりません。パワーポイントの常識がGoogle Slidesでは通用しないことに注意してください。
Google Fontsとは
Googleが提供するWebフォントサービスです。併せてフォントをダウンロードすることもできます。
https://fonts.google.com
PDF化/印刷出力時に置き換わってしまうフォント
Google Slidesのフォント選びで押さえておきたいポイントとしてもうひとつ、「フォントの置き換わり」があります。Google SlidesにはスライドをPDF化/印刷出力する機能が備わっているのですが、特定のフォントはそのまま出力することができず、別のフォントに置き換わってしまいます。

カテゴリ | フォント名 |
---|---|
Windows系 |
|
Mac系 |
|
Google Fonts系 |
|
具体的には、メイリオなら「MS Pゴシック」に、ヒラギノ明朝であれば「MS P明朝」に置き換わるかたちです。はっきりした理由はわかりませんが、ともかく上記に該当するフォントは、ディスプレイ上の見た目を、そのまま印刷に反映できません。また、見た目が変わるだけなら、まだいいのですが、フォントの置換発生後、最悪レイアウトが崩れる可能性があることに併せて注意が必要です。
では、どのフォントを使うべきなのか
さて、それではGoogle Slidesで日本語の文書を作成する際、一体どのフォントを利用すればよいのでしょうか。次のような条件を設定した場合、一番手堅い選択肢は「M PLUS」フォントです。
- PDF化/印刷時にも安定した結果を得られる
- 現在のPC/印刷機器の性能を活用する
- 日常的な意思疎通に十分な収録文字数がある
- 自然な見た目を保ちやすい
ほかのフォントを除外した理由は以下の通り。
PDF化/印刷時にも安定した結果を得られる
メイリオ、ヒラギノフォント
メイリオ、ヒラギノ系フォントは、前述の通りフォントの置きかわりが発生します。ビジネス文書であれば、やはりPDF化/印刷には備えておきたいところです。
現在のPC/印刷機器の性能を活用する
MS系フォント
MS ゴシック、MS 明朝などのフォントがWindowsに搭載されたのは、今から約30年前の1992年です。当時と比較して現在のPCおよび印刷機器の性能は飛躍的に向上しており、特別な理由でもない限り、これらのフォントを使い続ける必要はないでしょう。
日常的な意思疎通に十分な収録文字数がある
Sawarabiフォント
Sawarabiフォントは現在開発中のフォントのため、文字の欠けが目立ちます。たとえば、把握の「握」、収穫の「穫」、また「繋」といった文字は、Sawarabiフォントに収録されていません。現状はアクセント的な使い方に向くフォントです。
自然な見た目を保ちやすい
Kosugiフォント
Kosugiフォントは欧文が「等幅フォント」で作成されています。そのため、欧文を記載した際に字間が不自然に空きやすく、普段使いするフォントには向きません。意図して等幅フォントが必要なときに使うべきでしょう。
「M PLUS」フォントとは
M PLUSフォントとは、伸びのある直線と手書きの曲線が対照的なフリーフォントです。JIS第1水準を含む5,300以上の漢字が含まれてれています。Google Slidesでは、ゴシック体である「M PLUS 1p」と、丸ゴシック体の「M PLUS Rounded 1c」の2種類がサポート対象です:


また、このM PLUSフォントですが、文字のウェイト(太さ)について極細(thin)から超極太(black)の合計7種類が利用できます。表情豊かでメリハリのある紙面が作りやすいのはうれしいところ。


M+ Fonts 公式サイト
M PLUSフォントの公式情報は以下のサイトをご覧ください。
https://mplus-fonts.osdn.jp
M PLUSフォントの選び方
なお、Google Slidesの初期状態では、フォントのリストの中にM PLUSフォントは含まれていません。初めて使うときには、以下の手順でM PLUSフォントを有効化してください。
まずはフォントのドロップダウンリストから、「その他のフォント」を選択し(STEP #1)、

フォントダイアログの「文字:すべての文字」から「日本語」を選択(STEP #2)。

続いて、M PLUSフォントにチェックをつけ(STEP #3)、

最後に「OK」ボタンを押下してください(STEP #4)。

以上で、リストの中にM PLUSフォントが入ります。
サンプルスライド
以下は実際にM PLUSフォントを使って作成したスライドです。少しクセもあるものの、ビジネス文書で十分使用に耐えうるフォントです。



まとめ
ビジネス用途で実用域に達しているGoogle Slidesですが、日本語の処理についてはまだ粗が目立つ部分もあります。Google Slidesで資料作りをするときには、ぜひ以下の点を押さえて進めることをおすすめします!
- フォントはGoogle Slidesがサポートするものの中から選ぶ。
- 特定のフォントは、PDF化/印刷出力するときに、別のフォントに置き換わってしまうものがある(例:メイリオ → MS Pゴシック)。
- ディスプレイ上はもちろん、PDF化/印刷時でも安定して同じ見た目を保つなら「M PLUS」フォントの利用が手堅い。
(2020/11/24追記)当記事のスライド版を公開しました。Speaker Deckでご覧いただけます。